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1. 開設のお知らせ(2006.3.29 五代富文)
デブリは宇宙活動にとって重要な問題であるからこそ、国内でも多くの研究がおこなわれ、宇宙関係者に限らず大勢の方が関心を持たれています。その点からも、シンポジウム第1号として、このテーマはとても相応しいと考えます。
「宇宙ゴミをどうする」公開シンポジウムのコーディネーターとして、八坂哲雄さんにお願いしました。本文には、八坂哲雄さんのサーべーペーパーを掲載しましたので議論のスタートポイントにして下さい。また、青木節子さんからは宇宙法の視点からすでにペーパーを頂いています。「宙の会」幹事として、皆さん方の活発な議論を期待しています。
なお、添付ファイルは、ウィルス防止のため画像とPDFに限らせて頂きますが、字数の多いペーパーを本文に掲載を希望される方は、ぜひその旨を事務局までお知らせください。お待ちしています。
2.シンポジウムを始めるにあたって(2006.3.30 八坂哲雄)
ロケットを打ち上げ、人工衛星に地球の周りを周回させる。2005年末現在、それが約4226回行われてきた。その結果地球の周りには、まったく交通整理されないままに秒速7キロメートルの速度で飛ぶたくさんの「モノ」が溜まってしまった。これがいわゆるデブリ環境である。1957年に最初のスプートニクが打ち上げられてから十数年、人工衛星がお互いに衝突するなどということは想定外であった。ところが1981年からスペースシャトルが運行を始めると、宇宙から古い衛星やその部品が持ち帰られるようになった。シャトルのオービターに、何かがぶつかった痕跡が見られたのだ。これを契機に、デブリの研究が始まった。
デブリとは、一般には破片のようなものを指す言葉である。破片が存在しなかったら、今でも宇宙はきわめて安全な空間であり、これから百年は衝突などほとんど心配することはなかったはずだ。しかし1996年に、宇宙で最初の衝突が確認された。被害者はフランスの小型衛星Series、加害者はフランスの地球観測衛星を打ち上げたアリアンロケットの破片だった。
デブリ問題は、いかにして安全に宇宙活動が発展できるかを考えることだ。宇宙活動を発展させるために打ち上げを制約することは自己撞着を起こす可能性を持っている。現実には、どれほどの危険性が惹起されるかを具体的に考える先に、単に感覚的に捉えてしまい、それがある種の活動を制約することにもつながる場合がある。危険性は、きちんとした定量的な検討を基に論議する必要があろう。しかし対策について積極的提案や研究がなされているものの、それを行うための経費や効果についての論議は見られない。デブリ問題を考えるときは、その問題の本質を正確に捉える必要がある。
3.教えてください(2006.4.5 中野不二男)
初歩的な質問で恐縮ですが、一つ教えてください。デブリも飛びつつけているからには、その軌道の高度も速度も一定していると考えてよいのですか。それともわずかずつ下がっているのでしょうか
3.のレス (2006.4.5八坂哲雄)
デブリに限らず、軌道上のあらゆる物体には地球重力以外にもいろいろの力が働き、軌道はいつも少しづつ変化します。これが摂動です。低高度(1000km以下)では、大気抵抗が顕著な影響をもたらし、軌道高度は時間とともに下がってきます。もっとも800-1000kmの高度からですと、地球に落下するまでに何千年もかかります。さらに高度があがると大気抵抗の影響は目立たなくなり、替わって太陽、月、地球のいびつさの影響が出てきます。静止衛星を放っておくと南北や東西に動き始めるのはこのためです。ただし、高度の変化はありません。つまり、静止高度からはデブリは落ちてきません。
速度は高度の関数(軌道半径の1/2乗に反比例)です。
4.負の遺産スペースでブリを日本は正の財産へ (2006.4.5 岩崎信夫)
JAXAの前身のNASDAでは、10年以上前からスペースデブリ観測の光学望遠鏡とレーダ施設の設置の計画が進められ、観測も出来てきています。推進の必要性としては、日本が出しているスペースデブリは米国、旧ソ連に較べると微々たるものだが、将来の宇宙活動を円滑に行うには、それなりの国際貢献をすべき、という趣旨でした。この考え方は今も変わりませんし、より重要性が付加されてきています。
日本、日本人が尊敬されるには、環境問題に真剣に向き合っている姿が諸外国にきちんと写る必要があるからです。地上の環境問題では、薄々ではありますが日本も頑張っていることが、国際的に理解されはじめています。そこを一歩進めて宇宙の環境問題にも真剣に目を向ける必要があります。その尊敬される行為により、長い目で見れば日本の「安全」にお返しがくるはずです。そして、スペースデブリをそれほど出していないからこそ日本は発言力があるはずです。今後も努力を怠らず発言力を保持すべきです。国連の科学技術小委員会(UNCOPUOS)でもスペースデブリの問題は、かなり前から議題に取り上げられており、日本が作った低減策を基にして同意が得られる一歩手前まできています(もっとも、主導権を米国、英国に取られてはいますが)。ここでの議論は国際的な炭酸ガス問題と似たような経緯をたどっています。開発途上国は、自分たちのこれからの宇宙開発にどういう影響が出るかわからないから、あまり性急に厳しい規則を作るよりは十分な説明が欲しい。米国は、規制の拘束力を法的に厳しくされたら自国の産業に影響が出るから困る、といった主張です。また、ISOの場でも規則つくりに入ってきていますので、今後とも日本は積極的に発言すべきです。
かつて、公害問題がたどった道はたどるべきではありません。しかし、日本は負の遺産であった公害問題から環境保護まで一貫して正の財産へと作り変えた優秀さがあります。スペースデブリの問題は観測、モデリング、低減と、その中には多くの斬新的な技術が隠されています。これらから正の財産、”環境を守る”などの価値を作りあげてい くべきです。「負の遺産を正の財産へ」をスローガンに研究、技術開発、対策と幅広くおこなわれて必要があります。
また、東京都清掃局は公の仕事として残っていきます(正確さは別にして)。宇宙開発においても、スペースデブリの問題は公の仕事として取り扱うべきです。JAXAの長期ビジョンに全くふれられていないのは理解できません。また、それと並行にNPO組織のような場で、素早い対応でフランクに議論・研究ができることが必要と考えております。
4.のレス(2006.4.10 八坂哲雄)
岩崎さん
貴重なご意見をありがとうございます。「負の遺産を正の財産に」は、大変ピリッとしたスローガンであり、私も同感です。
そこで、日本が率先して負を正にするために、どのような方向性を持つのかを議論したいと思います。デブリ低減のガイドライン作りではIADCの場で大変積極的な寄与をしてきました。これに続いて、国連やISOでの論議の中でどのような立場で寄与をしてゆくのか、また、公の仕事として、どこまで何をやるのか・・・
まず、条約や法規制に進むことに関しては、別項で青木先生からもすでに問題提起がありましたが、日本はどのような立場をとるのか?理念として、具体的な中身として、まだ、広く議論はなされていないと感じます。
次に、公の仕事として、JAXAは当然それなりのことをするべきであることは同感です。長期ビジョンの中に「デブリ」は一箇所あり、有人技術に関して、「デブリ・隕石防御技術を蓄積」したことを述べています。中期計画・目標の中ではもう少し具体的なことが書いてあったと記憶しています。それでも、骨太の方向性を示しているとは、私も思いません。
このシンポジュームの中で、具体的な提案を持ち寄り、望ましい方向性を示すことができるように努めたいと思います。岩崎さんをはじめ、各位のご寄稿をお待ちします。
5.第25回ISTS(宇宙技術および科学の国際シンポジウム)におけるパネルディスカッション”International Space Law of Space Debris”(国際宇宙法におけるスペースデブリ)の開催について
(2006.5.20 北澤幸人)
国連の宇宙平和利用委員会/科学技術小委員会は(UNCOPOUS/STS)、2007年に国際的な合意を得ることを目標に、スペースデブリ削減のガイドラインを審議しています。(同委員会での審議が行われた本年3月に、時を同じくするように、ロシアの通信衛星がスペースデブリの衝突によってミッションを放棄せざるを得なくなりました。偶然とは言え、象徴的なできごとと思われます。)
スペースデブリの問題は技術的な課題だけでなく、スペースデブリを発生する側の責任、スペースデブリによって生じる被害への対応といった、地球環境問題と同様な法的な課題もあります。2007年にUNCOPOUS/STSのスペースデブリ削減のガイドラインが国際的に勧告されますと、国際宇宙法の分野でのスペースデブリ問題の検討もより本格化すると予想されます。
このような動きに先立ち、本年の6月に金沢で開催されます第25回ISTSで”International Space Law of Space Debris”と題しました国際パネルディスカッションを実施する予定です
基調講演者として、慶應義塾大学の青木節子先生をお迎えし、国際法、宇宙法、国連の役割、そして現状のデブリ問題動向等の概況をご講演頂きます。
NASA本部のMirmina氏には米国における法的観点からのスペースデブリ削減への取組み、国連での検討状況等をご紹介頂きます。スペースデブリ削減対策は、衛星やロケットの設計や運用への制約を強め、宇宙活動における経済的な影響が懸念されます。ドイツ航空宇宙研究所(DLR)のAlwes氏には、デブリ削減対策の経済的な影響についての解析結果をご紹介頂き、スペースデブリ削減を行うことの経済的な有効性についてご講演頂きます。さらに、コストエフェクティブなスペースデブリの削減には、技術やマネジメント等の「国際標準」(ルール)の作成と活用が不可欠なことから、ISO宇宙機システム委員会・スペースデブリ検討部会幹事のTaylor博士(英国)にISOのスペースデブリに対する取組みを紹介して頂きます。
各氏の御講演後、コーディネーターの日本スペースガード協会磯部?三理事長(元国立天文台)の司会のもと、会場参加者を含めての総合討論を行います。
以下に当日のアジェンダを記載します。(講師の方々のアブストラクトを御希望の方はkitazawa@planeta.sci.isas.jaxa.jpまでご連絡下さい。)
日時:6月6日(火) 12:30〜14:30 会場:金沢観光会館
1. Keynote Talk (30 minutes)
Space Debris Mitigation Measures in International Space Law
(Prof. Setsuko Aoki, Keio University)
2. Invited presentation (20 minutes each)
1) Legal Considerations of Various Proposals for the Mitigation of Space Debris
(Mr.Steve Mirmina, NASA Headquarters )
2) Economical Aspects of Space Debris Mitigation Measures (Mr. Detlef Alwes, DLR)
3) Implementation of Debris Mitigation using ISO Standards (Dr. Emma A. Taylor, ISO/TC20/SC14/ODCWG "Orbital Debris Co-ordination Working Group")
3. Discussion (30 minutes)
日本が、宇宙環境の保全(スペースデブリ対策)に対し、今後どのような役割を果たすべきか、有益な議論が行える機会になれば幸いと思っています。
皆様の積極的な御参加をお願い申し上げます。
6.超小型衛星の宇宙デブリ対策雑感 (2006.6.9 白子 悟朗)
数百g〜数kg級(ナノサット/ピコサット)超小型衛星は宇宙教育用の学生衛星:Cubesatを中心に、この数年で10機以上が打ち上げられ(わが国の大学が打ち上げた4機のみが稼働)、今年以降に計画されているものでも現在40機以上ある。 さらに小型衛星利用市場開拓と銘打って商業目的の超小型衛星(数kg以上)も計画され始めている。
Cubesatが初めて打ち上げられた3年前(東工大、東大を含む)のアマチュア無線コミュニティでは、このような衛星が今後多く打ち上げられた場合の1)電波のゴミ問題をどうするのか? 2)衛星のミッション終了後の宇宙デブリとしての対策はどうするのか?等の議論が噴出したが、電波のゴミ問題はIARU(国際アマチュア無線連合)による周波数コーディネーションの徹底や電波法やITU(国際電気通信連合)に基づく停波機能を装備することで、この類の衛星はアマチュア無線コードを遵守することで受け入れられる雰囲気になった。
しかし宇宙デブリについては話題提起にとどまり、具体的な対策議論までにはいたらなかったが、最近も宇宙デブリによると推察される軌道上衛星事故(ロシアの通信衛星:Express-AM11の全損)が発生していることから、宇宙への夢や教育の場での身の丈にあった衛星規模による貴重な経験を積む場に水をさすことが無いように配慮しながら、宇宙活動の安全・安心を確保するための技術的対策や法的な整備を進めることは無駄ではないと考え、超小型衛星の宇宙デブリ対策の論点を以下に提起させていただく。
1)軌道を定める:輻輳する軌道(350km以上)を避け、かつ大気抵抗を受けやすい軌道(例えば300km以下)に打ち上げ、早期の大気圏突入で消滅させる。このような特定の軌道への打上手段の確保が新たな課題となるが、低軌道での宇宙科学観測の余禄もある
2)何らかの公的審査のうえでミッションに見合った軌道を認知する
3)軌道変更機能を装備することとし、軌道変更に係わる新技術の発掘を行う(例えば、Dive And ascending装置や風呂敷状の展開物で太陽ふく射力による軌道低下を加速)
4)軌道上で自ら消滅する機能を装備することとし、新技術の発掘を行う(燃焼、昇華他)
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